東京都の小池百合子知事は2023年12月5日、私立を含む全ての高校の授業料を2024年度から実質無償化する方針を示した。現行の都民対象の授業料助成に設けている所得制限(世帯年収910万円未満)を撤廃する。
私立高校生のみ年間47万5000円支給(所得制限なし)
大阪府は私立高校生に63万円支給(所得制限なし)
2024年は高3のみ制限撤廃。2025年は高2高3のみ。2026年に東京都に追いつく。移行期間の所得制限は800万円未満。
国の就学支援金の上限
私立高校生に2020年4月から
39万6000円(年収590万円未満)
地方在住者から東京都や大阪府が羨ましいという声が聞かれますが、
収入が多くない家庭であれば、すでに地方でも無償化が実施されています。
今回話題になっているのは、
大学の第3子無償化と同様に所得制限がないからです。
私立高校無償化の沿革
2010年4月
「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」施行
公立高校生徒は無条件で授業料無料。私立高等学校の生徒にも、無条件で公立高校授業料に相当する高等学校等就学支援金
年額11万8,800円を支給。
私立高校生のみ年間23万7600円支給(非課税世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給(年収350万円未満世帯)
私立高校生と公立高校生に年間11万8800円支給(年収350万円以上)
内訳
一般会計で扱われ、平成24年度の当初予算額は総額3960億2340万円(対象者362万人見込み)。
公立高等学校授業料不徴収交付金:2379億8600万円
高等学校等就学支援金交付金:1576億8000万円
2014年4月
入学生より新制度開始。公立高校私立高校すべてに所得制限が設けられる。
※生活保護世帯の奨学金給付額は異なります。また、第二子以降の加算もありません。
公立高校生第二子以降 授業料無償+奨学給付金12万9700円(非課税世帯)
公立高校生第一子 授業料無償+奨学給付金(非課税世帯)
私立高校生第二子以降 年間29万7000円+奨学給付金13万8000円=合計43万5000円(非課税世帯)
私立高校生第一子 年間29万7000円+奨学給付金(非課税世帯)
私立高校生のみ年間23万7600円支給(年収350万円未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給(年収590万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給(年収910万円未満世帯)公立高校授業料に相当
公立高校生は全額授業料負担。私立高校生は支給金0円(年収910万円以上)
予算総額
平成26年度の予算額は
約4000億円で前年度までと比較して総額に違いは生じていない。
配分割合を変えただけであることが重要なポイント。高所得者から低所得者への再配分が行われたと言える。
ただし、奨学給付金の創設で地方の負担額が新たに60億円発生した。
2017年4月
※公立高校私立高校ともに第一子の奨学給付金が増額されました。
※生活保護世帯の奨学金給付額は異なり逆転現象で生じて減額されます。また、第二子以降の加算もありません。
公立高校生第一子 授業料無償+奨学給付金75800円(非課税世帯)
私立高校生第一子 年間29万7000円+奨学給付金84000円=合計38万1000円(非課税世帯)
※非課税世帯私立高校第一子の奨学給付金の推移:
38000円→39800円→67200円→84000円
| | . |
| 13万8000円 | . |
| | . |
| | . |
| 84000円 | . |
| | . |
| | . |
| | . |
43万5000円 | 東京都加算 | . |
| | . |
| | . |
38万1000円 | | . |
| | . |
| | . |
| | . |
29万7000円 | | . |
| | . |
| | . |
23万7600円 | | . |
| | . |
| | . |
17万8200円 | | . |
| | . |
| | . |
11万8800円 | | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
私立高校 |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
24万8500円 | 12万9700円 | . |
| | . |
| | . |
19万4600円 | 75800円 | . |
| | . |
| | . |
| | . |
授業料無償 | 11万8800円 | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
| | . |
公立高校 |
東京都の追加金
※東京都以外にある私立高校に通っていても支給される。
2011年4月
(予算43億円→60億円)
私立高校生第二子以降のみ 年間43万5000円+東京都授業料補助9万5400円=53万400円(非課税世帯)
私立高校生第一子のみ 年間36万4200円+東京都授業料補助9万5400円=45万9600円(非課税世帯)
私立高校生のみ 年間23万7600円支給+東京都授業料補助13万5000円=37万2600円(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ 年間17万8200円支給+東京都授業料補助10万7100円=28万5300円(年収590万円未満世帯)
私立高校生のみ 年間11万8800円支給+東京都授業料補助10万7100円=21万5900円(年収760万円未満世帯)
2017年4月〜
(予算140億円)
私立高校生のみ年間44万2000円支給(年収760万円未満世帯)※授業料無料以上の金額は支給はされない。
神奈川県の追加金
2011年4月
(予算30億円)
私立高校生(非課税世帯)第二子以降のみ
年間43万5000円+神奈川県授業料補助13万5000円+入学金補助10万円=67万円
私立高校生(非課税世帯)第一子のみ
年間36万4200円+神奈川県授業料補助13万5000円+入学金補助10万円=59万9200円
私立高校生のみ(年収350万未満世帯)
年間23万7600円+神奈川県授業料補助15万8400円+入学金補助10万円=49万6000円
私立高校生のみ(年収590万円未満世帯)
年間17万8200円支給+神奈川県授業料補助12万1800円+入学金補助10万円=40万円
私立高校生のみ(年収750万円未満世帯)
年間11万8800円+神奈川県授業料補助7万4400円+入学金補助10万円=29万3200円
千葉県の追加金
※県内にある私立高校に通っていれば千葉県民でなくても支給される。
2011年4月
(2010年度予算8300万円)
私立高校生の授業料無料(非課税世帯)
私立高校生の授業料無料。年間23万7600円支給+加算(年収350万未満世帯)
私立高校生の授業料2/3助成。国からの年間17万8200円支給+加算(年収590万円未満世帯)
私立高校生の授業料2/3助成。国からの年間11万8800円支給+加算(年収640万円未満世帯)
埼玉県の追加金
2011年4月
(予算34億円)
施設費等補助20万円は年収350万未満世帯のみが対象
2016年4月
(予算47億円)
私立高校生(非課税世帯)第二子以降のみ
年間43万5000円+埼玉県授業料補助7万8000円+施設費等補助20万円+入学金補助10万円=81万円3000円
私立高校生(非課税世帯)第一子のみ
年間36万4200円+埼玉県授業料補助7万8000円+施設費等補助20万円+入学金補助10万円=74万2200円
私立高校生のみ(年収350万未満世帯)
年間23万7600円+埼玉県授業料補助13万7400円+施設費等補助20万円+入学金補助10万円=67万5000円
私立高校生のみ(年収500万円未満世帯)
年間17万8200円+埼玉県授業料補助19万6800円+施設費等補助20万円+入学金補助10万円=67万5000円
私立高校生のみ(年収590万円未満世帯)
35万円=国からの年間17万8200円支給+加算+入学金補助10万円
私立高校生のみ(年収609万円未満世帯)
35万円=国からの年間11万8800円支給+加算+入学金補助10万円
茨城県の追加金
※非課税世帯への加算はありません。県内にある私立高校に通っていれば茨城県民でなくても支給。
2011年4月
(予算6億2000万円)
私立高校生のみ年間23万7600円支給+年間6万3400円追加(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給+年間1800円追加(年収590万円未満世帯)
私立高校授業料のカラクリ
※茨城県は350万円未満の世帯では授業料の無償化がなされておりますが、金額で算出しますと30万円程度の金額となります。
これは茨城県内の私立高校における授業料の平均額が約30万円なので、県の負担金は6万円ちょっとしかないという結果になるわけです。
大阪府の私立高校の授業料に目を向けてみますと、平均で60万円近くに達することが確認できます。茨城県のおよそ倍になる計算です。
大阪府では元々私立高校の授業料が高かったこともありますが、橋下府知事時代に私立高校への補助金助成金を削減した経緯があります。
こういった削減は国立大学で異常なほどの金額で毎年行われているわけなんですが、公金に頼らず授業料を値上げして賄うように促す狙いがあるわけです。
国立大学は
大学の質を落とすことで値上げをすることを長期に渡ってなんとか
回避していますが、大阪の私立高校は直ぐに根を上げ
授業料に転化させました。私立高校の授業料が高くなっても大阪府独自の助成で高所得者以外の家庭は援助されますので、
私立高校生とその親御さんの負担は増えないどころか実質減ったという実績が出来あがったわけです。
私立高校の生徒数 全国で約104万人(通信制除く)
東京都 約17万5000人
大阪府 約9万5000人
首都圏3県 約17万5000人
近畿1府2県 約7万8000人
愛知県 約6万5000人
福岡県 約5万4000人
その他37道県合計 約40万人
私立高校生の数は都市部の
10都府県だけで過半数を超える
約64万人に達します。過剰な私立高校助成が口だけの地方創生に反し、大都市優遇政策であるということが瞬時に理解できることでしょう。
都市部の平均所得は地方に比べ高額であり、当然支出も比例して高くなっています。教育費が地方に比べて高くなるのも止むを得ない面があります。本気で地方創生を訴えるのなら国立大学学費半額化を実施すべきなのです。
この国の政権は絶対にやらないでしょうけど。
大阪府の追加金
2010年
(予算65億円)
私立高校生のみ年間29万7000円支給(非課税世帯)
私立高校生のみ年間23万7600円支給(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給(年収590万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給(年収910万円未満世帯)公立高校授業料に相当
公立高校生は全額授業料負担。私立高校生は支給金0円(年収910万円以上)
2011年4月
(予算111億円→220億円)
※授業料は、大阪府から私立高校へ振り込まれます。
私立高校生の授業料無料(年収610万円未満世帯)
私立高校生の授業料10万円(年収800万円未満世帯)※授業料50万円なら私立高校生のみ年間40万円支給
私立高校生のみ年間11万8800円支給(年収910万円未満世帯)公立高校授業料に相当
公立高校生は全額授業料負担。私立高校生は支給金0円(年収910万円以上)
2016年4月
※授業料は、大阪府から私立高校へ振り込まれます。
私立高校生の授業料無料(年収590万円未満世帯)
私立高校生の授業料10万円(年収800万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給(年収910万円未満世帯)公立高校授業料に相当
公立高校生は全額授業料負担。私立高校生は支給金0円(年収910万円以上)
京都府の追加金
2011年4月
「私立高等学校あんしん修学支援制度」
(予算40億円)
私立高校生の授業料無料(年収500万円未満世帯)年間最高1人合計92万9000円を支給
私立高校生の授業料無料(年収590万円未満世帯)年間最高1人合計65万を支給
私立高校生のみ国からの支給金に5万円を加算(年収910万円未満世帯)
兵庫県の追加金
2011年
(予算億円)
私立高校生のみ年間29万7000円支給+8万2000円追加(非課税世帯)
私立高校生のみ年間23万7600円支給+8万2000円追加(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給+2万1000円追加(年収590万円未満世帯)
※大阪府、岡山県、鳥取県の私立高校に通う場合は追加金が1/4に減額されます。
※京都府の私立高校に通う場合に限り、追加金の減額は1/2に軽減されます。
愛知県の追加金
2010年
(予算68億円)
私立高校生のみ年間29万7000円支給+10万1400円追加(非課税世帯)
私立高校生のみ年間23万7600円支給+16万0800円追加(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給+8万7000円追加(年収590万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給+14万6400円追加(年収610万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給+8万400円追加(年収840万円未満世帯)
福岡県の追加金
2010年
私立高校生のみ年間29万7000円支給+12万4800円追加(非課税世帯)
私立高校生のみ年間23万7600円支給+12万4800円追加(年収350万未満世帯)
私立高校生のみ年間17万8200円支給+12万4800円追加(年収590万円未満世帯)
私立高校生のみ年間11万8800円支給+12万4800円追加(年収910万円未満世帯)
公立高校生は全額授業料負担。私立高校生のみ6000円支給(年収910万円以上)
広島県の追加金
2011年4月
(予算6億円)
私立高校生の授業料無料(非課税世帯)
私立高校生のみ国からの年間23万7600円支給+加算(年収350万未満世帯)
(外部リンク)